-- FreeBSD 日本語インストーラ作成ツール --

	FreeBSD 4.11-RELEASE 「日本語インストーラ/kern.flp, mfsroot.flp」
	を作成するシェル手続き

				    修正日	平成17年(2005年)02月05日 (土)
				    作成	小金丸信幸
				    E-mail	kogane@koganemaru.co.jp

1. はじめに
	FreeBSD の日本語表示インストーラとしては多言語インストーラがありま
	す。FreeBSD(98) 用のインストーラも日本語表示でインストールができま
	すが、この PC-9800 用インストーラを改造して AT 互換機用を作成して
	みました。AT 互換機用日本語インストーラ用には多言語インストーラの
 	kon2 や font を利用しています。本説明は FreeBSD 4.11-RELEASE に対
	応しています。


2. 用意するファイル
	1) FreeBSD 4.11-RELEASE のインストール用 CD-ROM かその中の src を
	   コピーしたもの。
	2) make.ATrelease.tar.gz
	   従来別ファイルの patches.tar.gz は make.ATrelease.tar.gz に含ま
	   れています。

	4) package ファイル
	   リリース用のドキュメントを作成するために次のパッケージが必要です。
	   dsssl-docbook-modular-1.78_6,1.tgz
	   jade-1.2.1_8.tgz
	   links-0.98,1.tgz
	   tidy-20000804_2.tgz

	   dsssl-docbook-modular-1.78_6,1.tgz
	   は次の依存 package が必要です。
		xmlcatmgr-2.2.tgz
	   その他、次の package も必要です。
	   docbook-1.3.tgz
	   次は依存 package です。
		docbook-241_2.tgz
		docbook-3.0_2.tgz
		docbook-3.1_2.tgz
		docbook-4.0_2.tgz
		docbook-4.1_2.tgz
	   日本語のドキュメントを作成するには次の package もインストールし
	   てください。
	   ja-lynx-2.8.4.rel1.tgz
	   次は依存 package です。
		zip-2.3_2.tgz
		unzip-5.51.tgz


3. make.ATrelease.tar.gz の内容

	添付している make.ATrelease.tar.gz には次のファイルが含まれています。

	MAKE.Clean.sh	作業ファイルを削除します。
	MAKE.I386.sh	MAKE.boot.flp.AT.sh を呼び出すシェル手続き。
	MAKE.boot.flp.AT.sh  AT 互換機用の FreeBSD 日本語インストールフロッ
			ピーディスクイメージファイルを作成するシェル手続き。
	MAKE.del.orig.sh *.orig ファイルを削除するシェル手続き。
			MAKE.make.patches.sh を行う前などに実行します。
	MAKE.doc.sh	リリースドキュメントを作成するシェル手続き。
	MAKE.dopatch.sh	patch を実行するシェル手続き。
	MAKE.get.src.sh	FreeBSDリリースの src ディレクトリからソースファイル
			取り出すシェル手続き。
	MAKE.make.patches.sh リリース用のパッチファイルを作成するシェル手続
			き。
	MAKE.objdir.sh	obj ディレクトリを作成するシェル手続き。
	README.AT	本ファイル。
	RelMakeCheck.sh	release/Makefile の制御を展開するシェル手続き。
	SETVAR		環境変数の設定。
	VNmount.sh	vnode の mount を行います。
	VNumount.sh	vnode の umount を行います。
	bin/pastime	経過時間計測ツール (perl で作成)。
	patches.tar.gz	パッチファイル。

	ソースを展開するディレクトリを /usr/src となるように設定してください。
	もし既に /usr/src が存在するなら一時的に名前を変更します。
	# mv /usr/src /usr/src.org

	現在のディレクトリを /usr/src となるように設定します。

	# ln -s `pwd` /usr/src

	/usr/obj/usr/src ディレクトリが存在する場合も問題となります。
	名前を変更しておいてください。詳細は後述。

	ソースを展開するディレクトリ下に作業用ディレクトリを作成し、
	上記のコマンドコピーします。例: mkdir /usr/src/makerel

	一般ユーザでは作成できません。root (スーパーユーザ)で実行してくだ
	さい。

      o 最短の場合
	SETVAR	3行を修正
	MAKE.get.src.sh
	MAKE.dopatch.sh -x
	MAKE.objdir.sh
	MAKE.del.orig.sh
	MAKE.boot.flp.AT.sh

	を順番に実行するだけで作成できます。

	リリースに変更がある場合はソースファイルを変更した後、
	MAKE.make.patches.sh
	tar -cvzf patches.tar.gz patches
	を実行すれば新しいパッチファイルが作成できます。

        安全のために PATH に . を含めていないならば、./MAKE.get.src.sh のよ
        うにシェル手続きの前に ./ をつけてください。


4. 必要なディスク容量

    リリース用バイナリを作成する場合:
	・ソースファイルが展開されるカレントディレクトリは 155M バイト,
	・/usr/obj は 24M バイト
	・出力ファイルが置かれるディレクトリ(/R) は 85M バイト
	合計、264M バイト以上必要です。

	/usr ファイルシステムの容量が少ない場合は他のファイルシステムにシン
	ボリックリンクを張るとよいでしょう。
	例: ln -s /otherdisk/obj /usr/obj

	出力ファイルが置かれる /R ディレクトリの容量が少ない場合も他のファ
	イルシステムにシンボリックリンクを張るとよいでしょう。
	例: ln -s /otherdisk/R /R


5. ファイルを適当なディレクトリに mount します。

	# mount_cd9660 /dev/cd0a /cdrom

	ディスクにコピーしてあれば、必要ありません。


6. MAKE.get.src.sh の実行

	添付している SETVAR の MD= の部分をリリースディレクトリにエディタで
	修正してください。4.11-RELEASE ディレクトリがない場合は SRC= の部分も
	修正します。

	SETVAR ファイルは他のシェル手続きで参照されます。

	ついでに出力ディレクトリの名前も必要なら修正してください。出力ディレ
	クトリは kern.flp, mfsroot.flp を作るだけなら ??M バイト、リリース用
	バイナリを作成する場合は 150M バイト程度必要です。「2. 必要なディス
	ク容量」を参照してください。

	使用者が変更するのは MD=(又は SRC=) と ORIGMAKE= 部分のみです。
	RELEASEDIR= と MAKE_FIXIT= は FreeBSD(98) で使用する変数です。出力
	ディレクトリは /R に固定されています。/ (ルート) ファイルシステム
	の容量が少ない場合は
	mkdir /otherdir/R ; ln -s /oterdir/R /R
	のようにシンボリックリンクを張ってください。

	ただし、/ (ルート) ファイルシステムに余裕がない場合 sort コマンドが
	/tmp を使用してファイルシステムフルのエラーになる場合がります。/tmp
	に余裕がない場合は TMPDIR= を設定してください。


	----- SETVAR ファイルの1部分 -----
	# リリースファイルのマウントディレクトリ
	MD=/cdrom
	SRC=$MD/4.11-RELEASE/src

	# cvsup のソースからリリーズ用バイナリ/kern.flp, mfsroot.flpを作成する場合
	# のソースを置くディレクトリ名
	#CVSDIR=/usr/src.releng49
	CVSDIR=

	# 出力ディレクトリの指定 (十分大きなファイルシステムを指定してください)
	RELEASEDIR=/var/98release

	# fixit.flp を作成する場合は MAKE_FIXIT=YES とする
	MAKE_FIXIT=

	# orig ディレクトリを作成するかどうかのフラグ
	# リリース用ファイルを作成する場合は ORIGMAKE=ON としてください。
	# kern.flp, mfsroot.flp だけを作成する場合は ORIGMAKE= としてください。
	ORIGMAKE=ON

	# sort が使用するテンポラリディレクトリ
	export TMPDIR=/var/tmp
	----- SETVAR ファイルの1部分 終り -----

	「FreeBSD 日本語インストーラ作成ツール」のコマンド群は通常
	/usr/src/makerel 等の(/usr/src の一つ下の)ディレクトリを作成して、
	その位置で実行します。

	ソースを展開するディレクトリの一つ下のディレクトリ
	(/usr/src/makerel 等)で MAKE.get.src.sh を実行します。

	MAKE.get.src.sh は FreeBSDリリースの src ディレクトリからソースフ
	ァイル取り出すシェル手続きです。

	# MAKE.get.src.sh

	ソースを取り出したかどうかは done/get.xxx というファイルで識別され
	ます。ソースファイルを取り出すのが不足した場合は MAKE.get.src.sh
	の該当部分を修正した後 done/get.xxx を削除した後、もう一度
	MAKE.get.src.sh を実行すれば該当する部分のみ再び取り出すことができ
	ます。


7. パッチの実行

	FreeBSD 4.11-RELEASE から変更のある差分のパッチを当てます。

	# MAKE.dopatch.sh

	MAKE.dopatch.sh は patches.tar.gz ファイルを読み込みソースにパッチ
	を当てます。

	※だだし、新規に FreeBSD 日本語インストーラを作成する場合は patch
	ファイルはありませんので、

	# MAKE.dopatch.sh -s

	でパッチはスキップします。


8. obj ディレクトリの作成

	MAKE.get.src.sh, MAKE.dopatch.sh が正常に終ったなら、
	MAKE.objdir.sh を実行します。

	# MAKE.objdir.sh

	を実行します。/usr/obj の下を消してしまった後などに、再び実行する場
	合もあります。

	カレントディレクトリが /usr/src ではない時、/usr/obj/usr/src が既に
	存在する場合、

	「/usr/obj/usr/src が存在します. /usr/obj/usr/src を消すか名前を変更
	してから実行してください.」

	とエラーとなりますので、
	cd /usr/obj/usr ; mv src src.old
	を行って再び MAKE.objdir.sh を実行してください。


9. /etc/make.conf の設定

	/etc/make.conf を設定してください。次は FreeBSD(98) を作成する際に
	使用しているフィルです。
	/etc/make.conf が正しく設定されていないと、インストーラのオブジェクト
	コードが大きくなり、フロッピーディスクイメージに入り切れなくなります。
	次の NO_CPU_CFLAGS, NO_CPU_COPTFLAGS フラグが重要です。

	---- ここから ----
	#
	# $Id: make.conf,v 1.2 2002/10/28 07:00:53 nyan Exp $
	#
	USA_RESIDENT=NO
	WITHOUT_X11=YES
	NO_CPU_CFLAGS=true
	NO_CPU_COPTFLAGS=true

	MASTER_SITE_BACKUP?=    \
		ftp://ftp-master.jp.FreeBSD.org/FreeBSD-master/ports/distfiles/${DIST_SUBDIR}/
	MASTER_SITE_OVERRIDE=   \
		${MASTER_SITE_BACKUP}
	---- ここまで ----


10. 日本語インストールフロッピーイメージファイルの作成

	# MAKE.boot.flp.AT.sh

	を実行します。

	/R/stage/floppies/ に boot.flp, kern.flp, mfsroot.flp
	インストールフロッピーイメージファイルが作成されます。

	MAKE.boot.flp.AT.sh の代わりに MAKE.I386.sh を使用すると、画面に表
	示されるメッセージが ERRI386.mmdd.xx というファイルに出力されます。
	mmdd は月日、xx は 01 から順番にカウントアップされます。

	# MAKE.I386.sh
	または
	# MAKE.I386.sh &
	# tail -f ERRI386.mmdd.xx

	エラーが生じた場合はメッセージの内容を参考にして、解決してください。
	再実行する場合は cd /usr/src/release ; make clean を行えばよいでし
	ょう。


11. その他

	本ツールは make buildworld を実行する必要がありませんので、短時間
	でインストールフロッピーイメージファイルを作成することができます。


12. 日本語リリースドキュメントの作成

	# MAKE.doc.sh

	を実行します。

	/R/stage/release.doc/ja_JP.eucJP/*/article.txt に日本語のドキュメ
	ント /R/stage/release.doc/en_US.ISO8859-1/*/article.txt に英文のド
	キュメントが作成されます。


13. 作業ファイルの削除

	# MAKE.Clean.sh

	使用法: MAKE.Clean.sh [-s] [-o] [-r] [-g] [-a]
		-s ソースファイルを削除
		-o /usr/obj 以下を削除
		-r release 出力ファイルを削除
		-g orig ソースファイルを削除
		-a 上記のファイル全て削除


14. その他のシェル手続き

	・VNmount.sh	vnode の mount を行います。

	/usr/obj/usr/src/release の下に作成される mfsroot ファイルや
	kern.flp, mfsroot.flp の中を見る時に使用します。umount は下記の
	VNumount.sh を使用します。実行すると /mnt にマウントされます。指定
	すれば他のディレクトリにもマウントできます。/mnt が他のマウントに
	使われていないか確認した後実行してください。

	使用例:
	    # VNmount.sh mfsroot.flp /mnt
	    # df -i
	または
	    # VNmount.sh kern.flp
	    # ls -l /mnt

	-r オプションはリードオンリーでマウントします。

	    # VNumount.sh -r

	・VNumount.sh	vnode の umount を行います。

	    # VNumount.sh
	または
	    # VNumount.sh /mnt

	ブートフロッピーイメージファイルを作成する時に kern.flp 等のサイズが
	オーバーして vnode を mount したまま、make が中断する時があります。
	そのような場合に VNumount.sh を実行すれば umount できます。


15. 改版履歴
    1)  新規作成
        作成日	平成14年(2002年)02月17日 (日)

    2)  画面の乱れを修正した。
	修正日	平成14年(2002年)02月19日 (火)

    3)  4.6-RELEASE に対応した。
	修正日	平成14年(2002年)06月14日 (金)

    4)  4.6.2-RELEASE に対応した。
	修正日	平成14年(2002年)08月16日 (金)

    5)  4.8-RELEASE に対応した。
	修正日	平成15年(2003年)05月21日 (水)

    6)  4.9-RELEASE に対応した。
	修正日	平成15年(2003年)10月20日 (月)

    7)  FreeBSD(98) と同様の作成方法に変更した。表題も "FreeBSD
        4.9-RELEASE 「日本語インストーラ/kern.flp, mfsroot.flp」を作成す
        るシェル手続き" に変更。
	修正日	平成15年(2003年)12月21日 (日)

    8)  FreeBSD 4.10-RELEASE 「日本語インストーラ/kern.flp, mfsroot.flp」
        作成するシェル手続き
	修正日	平成16年(2004年)04月25日 (土)
    9)  FreeBSD 4.11-RELEASE 「日本語インストーラ/kern.flp, mfsroot.flp」
        作成するシェル手続き
	修正日	平成17年(2005年)02月05日 (土)

以上.